薄茶用抹茶とは?産地・製法・健康成分を解説

薄茶用抹茶は、抹茶のなかでも最上級のグレード。覆いをかけて育てた若い茶葉だけを、石臼で細かく挽いています。製菓用ではなく、そのまま点てて飲むための抹茶です。

薄茶用抹茶とは

抹茶は、覆いをかけて育てた茶葉を蒸して乾燥させ、石臼で挽いた粉末状の緑茶です。茶葉をまるごと摂れる点が、お湯で淹れる煎茶との違い。栄養素や抗酸化成分、カフェインの含有量も煎茶より多くなります。

薄茶用は、抹茶のなかで最も品質の高いグレードです。原料は春の一番茶(いちばんちゃ)のみ。茶樹の先端にある、もっとも若くやわらかい葉だけを使います。栄養価が高く、渋みは少なく、テアニンの含有量も多いのが特徴です。

薄茶用抹茶は、お湯で点ててそのまま飲むための抹茶。味わい・色・口あたりのすべてに高い基準が求められます。お菓子作りや料理には、より手頃な製菓用抹茶が向いています。

薄茶用抹茶の作り方

薄茶用抹茶は、いくつもの工程を経て仕上がります。ひとつひとつの工程が、最終的な品質を左右します。

覆下栽培(おおいしたさいばい):一番茶の収穫の3~4週間前から、茶樹に覆いをかけて直射日光をさえぎります。この工程により、鮮やかな緑色のもとになるクロロフィルと、穏やかな集中感に関わるアミノ酸・テアニンが増え、渋みのもとになるカテキンは抑えられます。

手摘み:薄茶用には、各茎の先端にある2~3枚の若くやわらかい葉だけを選んで摘みます。古く硬い葉は、下位グレード用に回されます。

蒸し・乾燥:収穫した葉はすぐに蒸して酸化を止め、緑色と栄養価を保ちます。その後、乾燥・選別します。

茎・葉脈の除去:乾燥させた葉から茎と葉脈を取り除いたものが、抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)です。茎や葉脈を残すと渋みや繊維質な口あたりが出てしまうため、薄茶用には欠かせない工程です。

石臼挽き:碾茶は、伝統的な花崗岩の石臼でゆっくりと挽きます。低速で回転させることで熱の発生を抑え、繊細な風味成分や抗酸化成分を守ります。石臼1台につき1時間でおよそ30~40gしか挽けない、手間のかかる工程。薄茶用抹茶の価格が高くなる理由のひとつです。

薄茶用と製菓用の違い

薄茶用と製菓用の抹茶は、使う茶葉の品質と用途が異なります。

薄茶用は、もっとも若い一番茶だけを使用。きめ細かく鮮やかな緑色で、自然な甘みと豊かな旨みがあり、渋みはわずかです。そのまま点てて飲む抹茶や、シンプルな抹茶ラテに向いています。

製菓用は、時期が遅く茎の下のほうにある古い葉も含めて収穫した茶葉から作られます。色は黄みがかった緑で、渋みや苦みが強く、口あたりも粗め。お菓子作りやスムージー、アイスクリームなど、ほかの材料で渋みが目立たないレシピに向いています。

製菓用抹茶をそのまま飲んでしまうのは、抹茶初心者にありがちな失敗。渋み・くすんだ色・単調な味わいなど、抹茶への印象が悪くなる主な原因になっています。

成分と特徴

抹茶は茶葉をまるごと粉末で摂るため、どの淹れるお茶よりも成分が凝縮されています。薄茶用抹茶に含まれる主な成分は次のとおりです。

テアニン

テアニンは、茶の木にほぼ限って含まれる天然のアミノ酸です。α波の増加に関わるとされ、穏やかな集中状態につながる成分といわれています。薄茶用抹茶のテアニン含有量は、抹茶1gあたり14~25mgが目安。覆いをかけて育てた茶葉ほど、この範囲の上寄りになる傾向があります。

テアニンはカフェインと組み合わさることで働き方が変わるとされています。コーヒーのような急激な高まりとその後の失速ではなく、カフェインの働き方をゆるやかにし、穏やかで持続するエネルギーにつながるといわれています。この組み合わせは「穏やかな集中」と呼ばれることもあり、ドキドキや不安感のない集中力が特徴です。

カフェイン

抹茶1杯分(粉末2g)のカフェイン量は、グレードや栽培条件、点て方によって異なりますが、目安はおよそ34~70mg。覆いをかけて育てた一番茶を使う薄茶用抹茶は、製菓用よりカフェイン量が多くなる傾向があります。比較として、エスプレッソ1杯分のカフェイン量はおよそ60~65mgです。

EGCG(エピガロカテキンガレート)

EGCGは、緑茶に含まれるカテキンのなかでもっとも研究例が多く、強い抗酸化作用を持つとされる成分のひとつです。茶葉をまるごと摂る抹茶は、淹れて葉を取り除く煎茶よりEGCGの含有量が多く、重量あたりではおよそ3倍という研究報告もあります。薄茶用抹茶2gには、およそ50~100mgのEGCGが含まれます。

EGCGは抗炎症作用や心血管・代謝の健康維持に関わるとされる成分で、体内の活性酸素を抑える抗酸化物質としても知られています。

クロロフィル

覆下栽培によって、薄茶用抹茶のクロロフィル含有量は大きく増えます。これが、上質な抹茶を下位グレードと見分ける鮮やかな深緑色のもと。クロロフィルは体内環境を整える働きがあるといわれる成分でもあり、色の鮮やかさは薄茶用抹茶の品質を見た目で判断する目安のひとつです。

良質な薄茶用抹茶の見分け方

薄茶用抹茶を選ぶときは、次のポイントを確認します。

  • 色:鮮やかな深緑色。黄ばみやくすみは、古い葉や下位グレード、保存状態の悪さのサイン。
  • 口あたり:きめ細かく、シルクのようになめらか。ざらつきがある場合は、石臼挽きの質が低いか製菓用の可能性。
  • 香り:みずみずしく青々しい、ほのかな甘さ。生の茶葉に近い香りが目安。枯れ草のような匂いは劣化や保存状態の悪さのサイン。
  • 味わい:なめらかで自然な甘み、旨みが前面に出て渋みはわずか。渋みが強く残る場合は、製菓用であるか点て方に問題がある可能性が高いサインです。
  • 認証:SGSやISO 22000:2018など、第三者機関による食品安全認証の有無も、生産基準と純度を確認する目安になります。

薄茶用抹茶の点て方

伝統的な点て方には、竹製の茶筅(ちゃせん)、抹茶茶碗、70~80℃のお湯を使います(沸騰したお湯は抹茶の風味を損ない、渋みが強くなるため避けます)。

  1. 抹茶1~2g(小さじ1程度)を茶碗にふるい入れ、ダマをほぐします。
  2. 70~80℃のお湯を60~80ml注ぎます。
  3. 抹茶が溶けて表面に細かい泡が立つまで、茶筅で素早くW字を描くように点てます。
  4. 点てたらすぐに飲みます。

抹茶ラテにする場合は、点てた抹茶にお好みのミルク150~200mlをスチームして加えます。オーツミルクと牛乳が定番です。

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よくある質問

薄茶用と製菓用の抹茶は何が違いますか?

薄茶用は、覆いをかけて育てた一番茶の若い葉だけを使い、点てて飲むための抹茶です。製菓用は時期の遅い古い葉を使い、渋みをほかの材料で目立たなくする料理やお菓子作りに向いています。薄茶用は自然な甘みでなめらか、製菓用は渋みが強く色もくすみがちです。

薄茶用抹茶のカフェイン量はどのくらいですか?

薄茶用抹茶2g(1杯分)あたり、カフェイン量はおよそ34~70mgが目安です(ロットや栽培条件により変動)。抹茶のカフェインはテアニンによって働き方がゆるやかになり、コーヒーに比べて穏やかで持続するエネルギーにつながるといわれています。

薄茶用抹茶のテアニン量はどのくらいですか?

覆いをかけて育てた一番茶を使う薄茶用抹茶は、1gあたりテアニン14~25mgが目安。2g(1杯分)ではおよそ28~50mgになります。

EGCGにはどんな働きがありますか?

EGCG(エピガロカテキンガレート)は、抹茶に多く含まれる抗酸化力の強いカテキンです。抗炎症作用や心血管・代謝の健康維持に関わるとされています。茶葉をまるごと粉末で摂る抹茶は、煎茶に比べて重量あたりのEGCGがおよそ3倍という研究報告があります。

薄茶用抹茶とコーヒー、どちらが体にいいですか?

薄茶用抹茶とコーヒーでは、含まれる成分が異なります。抹茶はカフェインに加えてテアニン(穏やかで持続するエネルギー)、EGCGなどの抗酸化成分、クロロフィルを含みます。コーヒーはカフェインが中心で、こうした成分は含まれません。どちらが優れているというものではなく、好みや体質に合わせて選ぶものです。

薄茶用抹茶の保存方法は?

薄茶用抹茶は、密閉容器に入れ、光・熱・湿気を避けて保存します。開封後は、風味と色を保つため4~6週間を目安に飲み切るのがおすすめです。冷蔵保存も可能ですが、取り出す際に結露で湿気が入りやすいため、開封前に常温に戻してから開けてください。

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