抹茶とコーヒーの違い:カフェイン・エネルギー・健康効果を比較
抹茶とコーヒーは、どちらもカフェインを含み、エネルギーや集中力のために飲まれています。ただし、体への働き方もエネルギーの出方も、含まれる成分も別物。このページでは、カフェイン量・エネルギーの持続時間・テアニンの働き・成分の特徴を軸に、両者を比較します。
カフェイン量:抹茶とコーヒーの比較
カフェイン量は淹れ方によって変わりますが、目安となる数値は次のとおりです。
- 抹茶(2g・点てたもの):カフェインおよそ34~70mg
- エスプレッソ(シングルショット30ml):カフェインおよそ60~65mg
- ドリップコーヒー(240ml・1杯):カフェインおよそ80~120mg
- アメリカーノ(ダブルエスプレッソ):カフェインおよそ120~130mg
抹茶1杯分のカフェイン量は、エスプレッソ1杯とほぼ同じで、ドリップコーヒーのおよそ半分。集中力を保つには十分でありながら、一般的なコーヒーよりは控えめな、中間的な量です。
薄茶用抹茶は製菓用よりカフェイン量が多くなる傾向があります。覆いをかけて育てた一番茶は、時期の遅い茶葉よりカフェインを多く蓄えるためです。
エネルギーの持続時間:抹茶とコーヒーの違い
カフェイン量はエスプレッソとほぼ同じでも、抹茶で得られるエネルギーの感覚ははっきり異なります。理由はテアニンです。
コーヒーはカフェインの吸収が速い飲みものです。吸収をゆるやかにする成分がとくにないため、カフェインが素早く血中に入り、覚醒感やエネルギーも急に高まります。この速い吸収が、飲んで2~3時間後に多くの人が感じる「ガクッとくる」感覚や、ドキドキ、心拍数の上昇、人によっては不安感の原因にもなります。
抹茶にはテアニンというアミノ酸が含まれ、カフェインの吸収と働き方を調整するとされています。テアニンはα波の増加に関わるとされ、穏やかな覚醒状態につながるといわれる成分。カフェインの吸収をゆるやかにし、エネルギーの効果を長い時間に分散させるようです。結果として、急な高まりも急な失速もない、なだらかで長く続くエネルギーカーブになり、穏やかな集中が持続します。
カフェインとテアニンのこの組み合わせは、研究のなかで「穏やかな集中」と表現されることがあります。カフェインだけでは起こりうる不安感や落ち着きのなさを伴わない、集中した状態のことです。
テアニンの働きとその重要性
テアニンは、茶の木(学名Camellia sinensis)にほぼ限って含まれるアミノ酸で、覆いをかけて育てた抹茶にとくに多く含まれます。薄茶用抹茶のテアニン含有量は1gあたり14~25mgが目安。標準的な2g分では、およそ28~50mgのテアニンが摂れる計算です。
コーヒーにはテアニンが含まれていません。
テアニンの摂取については、次のような効果が研究で示唆されています。
- α波の増加に関わるとされ、穏やかな覚醒感や精神的な疲労の軽減につながるといわれる
- カフェインに対する身体的なストレス反応をやわらげる(心拍数の上昇やコルチゾール分泌の増加を抑える)とされる
- カフェインと組み合わせることで、カフェイン単独より注意力や反応速度が高まる可能性があるとされる
- 眠気を伴わずに、より穏やかで集中した状態につながるとされる
抹茶に含まれるカフェインとテアニンの比率(目安はおよそ2対1)は、これらの相乗効果が得られやすい範囲とされています。
抗酸化成分:EGCGとクロロゲン酸
抹茶にもコーヒーにも抗酸化成分が含まれていますが、それぞれ性質の異なる別の成分です。
抹茶にはカテキンが豊富で、なかでもEGCG(エピガロカテキンガレート)は緑茶の抗酸化成分のなかで最も研究例が多い成分です。茶葉をまるごと粉末で摂る抹茶は、淹れて葉を取り除く煎茶よりEGCG濃度が大幅に高くなります。薄茶用抹茶2gにはおよそ50~100mgのEGCGが含まれ、抗炎症作用や心血管・代謝の健康維持に関わるとされています。
コーヒーにはクロロゲン酸が豊富。炎症の軽減やインスリン感受性の改善、心血管の健康維持に関わるとされるポリフェノール系の抗酸化成分です。ドリップコーヒー1杯には、およそ200~550mgのクロロゲン酸が含まれ、多くの人の食生活のなかでも有数の抗酸化成分の摂取源になっています。
どちらも価値ある抗酸化成分の摂取源であり、単に成分と働き方が異なるというだけのことです。
胃腸への影響
コーヒーは酸性(pHおよそ5.0)で、胃酸の分泌を促します。多くの人には問題ありませんが、逆流性食道炎や胃炎、過敏性腸症候群のある人は、コーヒーで症状が悪化すると感じることが少なくありません。腸の動きを促す作用もあり、コーヒーを飲んだ直後にトイレに行きたくなるのはこのためです。
抹茶も弱酸性ですが、コーヒーよりは胃にやさしいとされています。テアニンが、胃腸の反応を穏やかにする一因になっている可能性もあります。空腹時のコーヒーが苦手な人でも、抹茶なら問題なく飲めることが多いようです。
コルチゾールとストレス反応
コーヒーのカフェインは、コルチゾールやアドレナリンといったストレスホルモンの分泌を促します。これらは覚醒感を高める一方、多量に摂ったり夜遅くに摂ったりすると、不安感の増加や血圧の上昇、睡眠の乱れにつながることもあります。
抹茶に含まれるテアニンは、カフェインによるコルチゾール分泌の作用を一部やわらげるとする研究もあります。抹茶のエネルギーが、コーヒーに比べて不安感が少なく「クリーン」だと言われることが多いのは、テアニンが神経伝達やホルモンの反応を調整しているためと考えられています。
睡眠への影響
カフェインの半減期は、多くの成人でおよそ5~7時間。午後2時に飲んだコーヒーのカフェインは、夜7~9時の時点でもまだ半分ほど体内に残っている計算になります。抹茶もコーヒーも、遅い時間に摂ると睡眠を妨げる可能性があります。
抹茶1杯分のカフェイン量は大きめのコーヒーより少ないため、睡眠への影響は比較的小さめですが、飲む時間帯には変わらず注意が必要です。睡眠の研究者の多くは、就寝の6時間前からはカフェインを避けることを勧めています。
抹茶とコーヒー:比較まとめ
- カフェイン量(1杯分):抹茶34~70mg/エスプレッソ60~65mg/ドリップコーヒー80~120mg
- テアニン:抹茶28~50mg(1杯分)/コーヒー0mg
- エネルギーの持続:抹茶は緩やかに4~6時間持続/コーヒーは急に高まり2~3時間でピーク
- 失速のリスク:抹茶は低い/コーヒーは中~高
- ドキドキ・不安感:抹茶はテアニンにより低め/コーヒーは多量摂取でよく見られる
- 主な抗酸化成分:抹茶はEGCG(カテキン)/コーヒーはクロロゲン酸
- 胃への刺激:抹茶は穏やか/コーヒーは酸性が強く胃酸分泌を促す
抹茶とコーヒー、どちらがいい?
どちらが優れているというものではなく、何を重視するかで選び方が変わります。
ドキドキや急な失速のない、穏やかで持続する集中力を求めるなら、抹茶が向いています。コーヒーで不安感や胃腸の不調、睡眠の乱れを感じる人にも。コーヒーにはないテアニンやEGCGが摂れるのも抹茶の特徴です。
すぐに強い覚醒感がほしいときや、コーヒーの味や習慣そのものが好きな人にはコーヒーが向いています。1杯あたりの抗酸化成分の量も、量の多さとクロロゲン酸の含有量から、コーヒーのほうが多くなります。
朝はコーヒー、午後は抹茶に置き換える人も少なくありません。朝はコーヒーでしっかり目覚め、午後は抹茶で穏やかな集中を保ちながら、夜の睡眠を妨げるほどのカフェイン摂取は避けられる組み合わせです。
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よくある質問
抹茶はコーヒーよりカフェインが多いですか?
いいえ。抹茶1杯分(2g)のカフェイン量はおよそ34~70mgで、エスプレッソ1杯とほぼ同じ、標準的なドリップコーヒー(80~120mg)のおよそ半分です。ただし、テアニンによって働き方が調整されるため、体感としてはコーヒーとは異なる、なだらかで長く続くエネルギーになります。
なぜ抹茶はコーヒーのようにドキドキしないのですか?
抹茶に含まれるテアニンが、カフェインに対する身体的なストレス反応をやわらげるためです。テアニンはα波の増加に関わり、コーヒーのようにカフェイン単体で起こりやすいコルチゾールやアドレナリンの急上昇を抑えるとされています。結果として、ドキドキや不安感ではなく、穏やかで集中した覚醒感につながります。
不安感が気になる場合、抹茶とコーヒーどちらがいいですか?
カフェインによる不安感が気になる人には、コーヒーより抹茶のほうが体に合いやすいとされています。抹茶に含まれるテアニンが、カフェインによる不安感をある程度打ち消すためです。ただし抹茶にもカフェインは含まれているため、カフェインにとても敏感な人は、多めに飲むと抹茶でも多少の覚醒感や軽い不安感が出ることがあります。
抹茶のエネルギーは、コーヒーと比べてどれくらい持続しますか?
抹茶は、なだらかなエネルギーが4~6時間ほど続き、落ち着き方も穏やかな傾向があります。コーヒーは早く高くピークに達し、2~3時間ほどで急に落ちる傾向です。どちらも、カフェインの代謝や摂取量には個人差があります。
朝のコーヒーを抹茶に置き換えられますか?
できます。実際に置き換えている人は少なくありません。抹茶ラテなら、朝の目覚めに十分なカフェインが摂れながら、テアニンがコーヒーで感じやすいドキドキや不安感を抑えてくれます。濃いコーヒー(ダブルエスプレッソやアメリカーノ)に慣れている場合は、移行期にダブルショットの抹茶から始めると、カフェイン量を近づけやすくなります。
胃には抹茶とコーヒー、どちらがやさしいですか?
一般的には、コーヒーより抹茶のほうが胃にやさしいとされています。コーヒーは酸性が強く胃酸の分泌を促すため、逆流性食道炎や胃炎、胃が敏感な人には不快感の原因になることがあります。抹茶も弱酸性ですが、胃酸への刺激はコーヒーほど強くなく、テアニンが胃腸の反応を穏やかにする一因になっている可能性もあります。
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